数学とか競プロとかイギリスとか

JOIG 2023/2024 春季トレーニング参加記

日本情報オリンピック女子部門第4回の春季トレーニング(2023/2024)に参加させていただきました。JOIGの方はあまり参加記がなさそうなので、書いて少しでも女子部門を盛り上げたいという魂胆です。問題の方針のネタバレはありませんが、どの順番で解いたなど競技中の行動についての軽めの言及があります。

 

今までのJOIG歴

今年が私にとってのラストイヤーなので、JOIG歴を軽く振り返りたいと思います。

ちょうど競プロを始めた時にJOIGの第一回が始まったので、運よくその時から参加させていただいています。

  • 第一回:なぜこの時優秀賞が取れたのかよくわかりませんが、とにかく驚き、自分に競プロの才があると思い込み始めた頃です。結果として競プロを続けるきっかけになりました。
  • 第二回:競プロの才は実際には無く、調子に乗った結果ボーダーの数点下で春季トレーニングを逃しました。目が覚めました。
  • 第三回:第二回の反省から頑張り始めた結果、本選で銅賞をいただきました。
    ただこの時もまた調子に乗った結果、春季トレーニングでは初日最下位・最終日は下から2番目という散々な結果を残しました。場にのまれたことやしょうもないミス*1なども点数が下がった原因でしたが、それ以上に実力が全く足りませんでした。
  • 第四回:四度目の正直で、これが今回です。

JOIG第一回表彰式の思い出です。同じビル内にありました

本選

四完までスピードでできましたが、それ以外は全くダメでした。特にE問題は満点が思いついたのに、実装が微妙に違って全然点数がとれていませんでした。

春季トレーニングに通るか通らないくらいかだと思いましたが、蓋を開けてみるとまた銅賞で目が飛び出ました。ただ合格最低点との点差があまりなかったので、今回は大波乱 and/or 皆実力が似ている、と感じ春季トレーニングが怖くなりました。

本番まで

かなり前から難易度7から9を順番に埋めていました。8からかなり辛くなってきたのを覚えていますが、なんとか少しずつ解き進めていきました。ただ、色々他の予定が詰まっていて正直精進量は足りなかったと感じています。

Day 0

表彰式では、何回か会った方も初めて会う方もたくさんの人と交流ができて楽しかったです。昨年と違って、今年は企画がいくつかありました。人と交流してシールを集めるものは全完して、ペーパータワーを作る企画は安定性では一位だったと思います。

式の後にプラクティスがありました。問題セットは昨年と全く同じだったので、競技しやすい環境構築がきちんとできるかの確認に重点を置きました。

Day 1

この日、JOIGは競技がありません。交流会と講義が行われました。

交流会

自己紹介を一周してから、名前を覚えるゲームやUNOやitoなどのカードゲームで遊びました。ほとんど初めて会う方々だったので最初は空気が硬かったですが、カードゲームは盛り上がったので少し打ち解けてきたかなと思います。なんと半分が中学生ということで、日本の未来は明るいなと感じました。

bento1

講義

東京医科歯科大の先生が情報の医療分野での講義をしてくださいました。1時間半ほどで、かなりガッツリとお話が聞けたかと思います。

特にAIの活用についてがメインフォーカスで、乳がんの特殊性やAIがどのように抗がん剤やコロナの薬に活用されていたか、情報学の重要性などについてのお話を聞きました。こういった医療x情報には興味があったことに加え、個人的に乳がんは関わりのあるお話だったので、とても興味深かったです。

Day 2

実は四日間ともJOIG勢では一番乗りに会場についてPCで色々やっていました。この日がなんと書いていた論文の締め切りで、この日ギリギリまで編集をしていたこともあってか競技はあまり緊張しませんでした。昨年の反省で緊張しすぎると場にのまれることがわかっていたので、これは良い精神状態だったと思います。

競技

まず1問目から見始めます。かなり解きやすそうな見た目をしていたので、早く満点を取っておきたいなと考えますが、すぐには解けなさそうなのでまずは小課題を見ていきます。小課題1の愚直をまず取った後、小課題2をヒントにして満点がわかりました。実装もとても軽くて、ここまでで25分です。

 

2問目からいきなり難しくなります。愚直を実装してみますが、実装が個人的に重くて何かをバグらせてしまったため、早々に3問目に移行します。満点は2問目より難しそうでしたが小課題は明らかに取りやすそうだったため、途中まで取って少し考察して伸ばしてをしばらく繰り返します。

しばらくして2問目に戻ると、シンプルめな実装方法が思いついたので書いて部分点を取ります。また少し考察して小課題を順番に取っていきます。

 

とりあえずパッと思いつく解法で解けそうな小課題ができたので、考察を頑張るかcommunicationに手を出すかの二択になりました。ここでcommunicationを頑張りましたが、小課題1から微妙に違っていて結局0点で終わってしまいました。

 

競技後

競技の日はお弁当の写真を撮るのを忘れました。

半分の200が取れていなかったのでボーダーギリギリくらいかなと感じましたが、明らかに皆お通夜でした。順位表を見ると第2位で、落ち着いて小課題を取っていったのが良い方向に向かったと思います。

 

この日はえらーめぐさんと一緒に帰ったので、少し仲良くなれました。

 

Day 3

この日、JOIGは競技がありません。再び交流会と講義の日です。

交流会

交流会と名がついていますが、今回はチューター企画でiro_さんがランダムケース生成について教えてくれました。重要スキルなのはわかりつつ今まで全くやったことがなかったので、とても役に立ちました。ただこれをコンテスト中に実際にやるのはきつそうで、これを機にもっと慣れる必要がありそうだと感じました。

 

有名なりんごのぬいぐるみが置かれていたことから、みんなのマスコットを集めて写真撮影をしました。可愛いの天国。

JOIG集合写真(マスコット欠席の方もいますが...)

余った時間でまたカードゲームをやりました。iro_さんおすすめのトランプのゲームを布教された後、チューターであるしろいあづきさんおすすめのセットというゲームを楽しみました。数オリ界隈では有名らしいです。両方とも知らないゲームだったのですが、かなり楽しかったです。

 

この日のお昼ご飯は情報科学の達人*2とGCI*3の話になり、チューター並みに私が喋ってしまい少し反省しています。でもしろいあづきさんが「いい話を聞いた」と喜んでくださっていたので、嬉しかったです。お昼にはblackyukiさんも来られました。

bento3



最寄駅である駒場東大前駅にあったGCIの広告

講義

今日の講義は女性の東工大の研究者の方で、マッチングに関するお話や女性のキャリアについてのお話を聞きました。ポピュラーマッチングというのが最近ホットなトピックだそうです。マッチングの話は以前に何度か聞いたことがありますが、これは初めて聞くお話でとても面白かったです。

女性のキャリアについては、日本の情報での女性研究者の割合は国際会議に比べてもかなり少ないそうで、進路の途中から女性一人だったことに加え国内では会議でも女性一人なことがざらにあるそうです。想像以上にシビアでした。

 

この日もえらーめぐさんと一緒に帰りました。明日出そうな問題を予想したり*4、学校や共通の趣味の話などをして、結構仲良くなれたと思います(私個人の感想)。明日一緒に代表になれるといいなと思ったりなどしました*5

参加者の方が、置いてあったチョコレートのフィルムを綺麗すぎる鶴にしていました

Day 4

今圏内なのに落ちたら最悪だという思いからか、Day 2の100倍緊張していて、心臓が口から出そうでした。ただ実際に朝会場に行ってみるとやはり一番乗りで、不思議と緊張はかなり緩和されました。

競技

全体的にDay 2よりも易しめなセットに感じました。ただ1問目はDay 2よりも考察が必要で、今回は55分くらいかかりました。

2問目は愚直を書くのに満点の本質と違う解法を書いてしまい、それを正すのにかなり時間がかかってしまいました。ここがもっと早く見えているべきだったと思います。ただ、2時間半か3時間くらいで満点が取れたと思うので結果的にはよかったです。

 

この時間の掛け方が悪く、3問目と4問目の部分点は合わせて35点しか取れませんでした。4問目は考えるのが大変そうだったので3問目をもっと伸ばそうと思っていたのですが、取ろうとしていた部分点の考え方が違いました。また、割と重要な性質に気づいていなかったのでそれに気づいていれば点数がもっと取れたと思います。

点数は100-100-20-15=235です。総合は411点でした。

 

Day 2の振る舞いには満足していますが、この日はもっとうまくやれたところがあると思います。結果は総合2位で、無事にEGOI 2024の日本代表になることができました。

 

まとめ

IOIもEGOIも中二の代表が誕生したということで、日本の未来は明るいと思いました2。自分の話だと、4年目にして長年の目標を達成できて感無量です。JOIGを運営している方には本当に感謝しかないです。

 

JOIGは次年度から二次予選までJOIと共通になり、春季トレーニングも上位10人から15人になるそうで、レベルがだんだん上がっていることを実感しています。自分が女子部門に対する意見を吹っ飛ばせるほどの能力を身につけられていないのが申し訳ないですが、今後の方達には頑張ってもっと盛り上げていってほしいです。

 

これから春季トレーニングに参加する方への教訓としては、カタカタする音がストレスフルなので耳栓が苦手でない人はできるだけ持っていくこと、緊張はできるだけほぐして場にのまれないようにすること、小課題は落ち着いてとること、です。

 

EGOI 2024での目標は、日本チームで一番国際交流をすることと、金メダルを取ることです。夏までまた頑張ります!

*1:https://x.com/clara775_kyopro/status/1637719211337465856?s=20

*2:

www.nii.ac.jp

*3:

gci2.t.u-tokyo.ac.jp

*4:この予想はわりかし当たっていました。すごい

*5:えらーめぐさんも日本代表になりました