数学とか競プロとかイギリスとか

EGMO 2025 参加記

ヨーロッパ女子数学オリンピック(EGMO)2025コソボ大会にイギリス代表として出場しましたので、その参加記です。

試験の話はしていますが、問題内容についての言及はありません。

 

 

なぜイギリス代表なのか

私は純ジャパで、イギリスの高校生です。イギリス代表になれる理由と、日本代表になれない理由があります。

イギリス代表になるには、イギリスの国籍を持っているか、大学入学までにイギリスの高等学校で3年学ぶ(予定である)という条件があります。私は2021年の9月からイギリスの学校で学生をしているので、この条件に合います。

日本代表になるには、11月のEGMO予選に参加する必要があります*1。しかし日程が完全に学期中なのでこのためだけの帰国は難しく、日本代表にはなれません。

 

イギリスの数学オリンピックBMO

軽くイギリス国内の数オリについて説明します。

まずSenior Math Challenge(SMC)という25問選択式の予選があります(日本の予選よりだいぶ簡単です)。次にSMCの成績上位者1000名ほどが、BMO Round 1に参加します。こちらは3時間半6問の全記述式です。ここで上位20人になると、ハンガリーに年末年始の合宿に行くことができます。

そしてさらにBMO1の成績上位者100名ほどが、BMO Round 2に参加します。ここで上位24人になると、いわゆる春合宿に相当するものに招待され、ここから2日x2回の試験を経てIMOの代表が決まります。

EGMOの代表は、BMO1とBMO2の成績を総合し、特にBMO2の成績によって決められます。

というわけで、昨年まで二年間EGMOの補欠の一つ下(6番目)だった私が、このプロセスを経て今年ラストイヤーにして初めてEGMO代表になることができました。

 

Day -2 and less

実はEGMOの一週間と少し前から、六日間の春合宿がありました。今年はかなりスケジュールがキツキツで、EGMOと春合宿の間は2日しか空いておらず、ほぼ一続きのイベントのような感覚でした。

春合宿についてはあまりここで言える内容がないのですが、過去に参加記を書いています(2年前、初参加の時です)。

 

clara775.hatenablog.com

 

短くまとめると、6日間のうち4日間は1.5時間×4回の講義と夜のアクティビティ、残り2日はTST(Team Selection Test)がある構成で、講義は初参加か2回目以上かによって分かれています。

今回は参加が3回目だったこともあり、今まで以上についていけている感覚がありました。今まで二年間のTSTは解けた問題が一つもありませんでしたが、今年は運良くかなり上手く行きました。

その結果EGMOの一週間後のRegionalであるBalkan MOと、IMO代表を決めるIMO finalに進む9人に選んでいただくことができ、EGMOに向けて相当な自信になりました。

キャンプ場所のケンブリッジ大学Trinity College

Day -1

翌日唯一の直行便が朝早くだったので、空港近くのホテルでみんなで前泊しました。

夜7時ごろからレストランで食事をとって、UNK1と相部屋で宿泊しました(私はUNK3です)。飛行機が夜でも飛んでいて、その音でなかなか寝るのが難しかったです。。

Day 0

朝3時半起きからの4時集合という強行スケジュールをこなしました。辛かった...。

空港はLondon Luton Airportというところで、普通羽田から来るときに使うHeathrow空港よりも小さく、ヨーロッパ行きによく使う空港のようです。私はHeathrowからしか飛んだことがなかったので初めてだったのですが、午前4時なのに人でいっぱいで驚きました。

出発時、Luton空港の朝焼け

イギリスEGMOチームの伝統であるPRETでの朝ごはんを済ませた後、6時半くらいのフライトに搭乗し、3時間ほどでコソボプリシュティナ国際空港につきました。途中で窓からかなりの山が見えたのですが、Balkan Mountainというものが近くにあるのだとDeputy Leaderから知見を得ました。Deputyはとても物知りです。

 

プリシュティナ国際空港でイギリスチームはインタビューを受けました。後日見たら使われたインタビューはイギリスチームだけで横転

 

この日はArrivalだけなので、卓球をやるチームメイトとオーストラリアチームを眺めたり、日本チームに挨拶したり、仮眠して早起きの疲れを取ったりしました。ホテルが思ったよりだいぶ綺麗で部屋も広く、またまた相部屋のUNK1と一緒に喜びました。

 

食事はこの日含めてホテルでとることが多く、ビュッフェスタイルで種類多く取り揃えてあり、食べ物に困ることはありませんでした。特にクリームであえてあるお肉やパスタがかなり美味しかったです。ただ生野菜を避けようと決めていたので*2、かなり茶色い食事になりました。

 

肉かじゃがいもか米かパスタを食べて生活しました

 

また前回のEGOIの時と同様、blackyukiさんの参加記を参考に地図に参加者の名前を集める活動を行いました。

clara775.hatenablog.com

 

Day 1:開会式

この日はUNK1の誕生日で、イギリスチームみんなでお祝いしました。彼女はEGOIのインド代表で、去年のEGOIで誕生日だった私をサプライズで祝ってもらったご縁があるので、こうしてまた同じコンテストに出てお互いの誕生日を祝えるのはとても感慨深いものでした。

 

開会式の場所はバスで20分ほど行ったKlan Arenaというところで、式では伝統楽器(たぶんCiftelia?)と現代楽器のアンサンブルや、大臣のスピーチ、そして各国の紹介が行われました。私たちイギリスチームは、揃いのチームTシャツを着てマスコットを持って参加しましたが、他の国々は伝統衣装を着るなど個性豊かで見ているだけでもとても楽しかったです!

 

開会式会場で立食ビュッフェの昼食をとった後は自由時間でした。私はUNK2, UNK4とObserverと一緒に市内のツアーに出かけました。

ツアーでは、コソボセルビアとの戦争や独立を象徴するモニュメントのほか、市内が一望できる教会などを訪れました。特にNEWBORNのモニュメントは毎年独立記念日に新しいデザインに塗り替えているそうで、その発想がとても素敵だなあと感じました。



余談ですが、スイスの数学オリンピックチームが運営しているswiss.moというインスタグラムアカウントがあり、面白い数オリのミームなどがあげられています。このアカウントがEGMO2025のビンゴ企画をやっており、UNK1が血眼になってやっていました。この日にはほぼ揃っていた(すごい)

ミームはかなり面白いので皆さんもぜひ見てみてください!

 

Day 2:コンテスト1

ついにコンテスト1日目です。緊張して眠れるか不安でしたが、疲れていたのですんなり眠ることができました。会場は開会式と同じところで、席を全て撤収して試験会場にするようでした。

 

開会式・試験・閉会式の会場

 

ここでトラブルが発生!予定では8時半がコンテストの開始で、そのためにみんな会場へ概ね時間通りに集まっていたのですが、理由がわからないまま会場の前で1時間ほど待たなければいけませんでした。その後一チームずつ国コードのアルファベット順で入場して行きましたが、持ち物のセキュリティがあまりにも厳しく、UNKは最後から3番目なのでさらに30分くらい待ち、試験は1時間半か2時間くらい遅れてスタートしました。

他にも、時計が見えなかったり、お手洗いが1時間半待ちだったり(外で待っている時には誰もお手洗いに行けなかったので、それが原因の一つでした)、薬の持ち込みが許されなかった人がいたり、いろんなトラブルがあり選手は皆大変な思いをしました。

 

これは試験後に聞いた話ですが、我々イギリスチームのリーダーがP3の問題文にミスがあり、このままでは考えられていないコーナーケースがあることに気がつきました。その修正の議論、翻訳のやり直しなどが午前2時までかかったそうです。そして、問題文の印刷と再配布を朝から行った結果、試験開始が遅くなったそうです。

これに伴って、各国についてくださるガイドさんが設営を徹夜で行ったそうで、全員にとって大変な1日になりました。しかもガイドさんは高校生なので全員私と同い年か年下です。

 

さて、試験自体は概ねうまく行き、P1とP2の満点を書くことができました。この時点で2時間くらいは余っていましたが、P3をどう頑張ってもわからず、手も足も出ませんでした。この分野の力不足を切実に感じた瞬間でした。。。

 

試験後は自由時間でしたが、試験開始が遅れたためお昼ご飯の時点ですでに3時を過ぎており、あまり晩ごはんまでの時間はありませんでした。

晩御飯はスポンサーのCitadelがスペシャルディナーを用意しているとのことで、別の会場に行って豪華なビュッフェを楽しみました。後半になってくると、SETで盛り上がり始めたり、流れている音楽に乗ってみんな踊り始めたりなど、かなりのパーティー騒ぎになっており海外ノリを感じました。

 

ディナー会場

 

Day 3:コンテスト2

コンテスト2日目です。

この日素晴らしかったのは、前日に問題だった箇所がほぼ全て解決されていたことです。試験もほぼほぼ時間通りに始まりましたし、お手洗いの待ちもほぼなく、時計も全員から見えるようになっており、1日でこれだけ改善してくださった運営の皆さんにはとても感謝しています。

試験中は、P4から解き始めましたが何をパニックになったのか全く解くことができず、とりあえずP5が解けたので雑に答案を書きました。最後10分ほどでP4を解くことができ、慌てて震える手で答案を書き、書き終わった時には残り38秒でした。おかげで試験時間が終わった後も心拍がめちゃめちゃ速かったです。P6も見ましたが、手も足も出ずです。

 

試験後は1日目も2日目も、会場外のロビーで立食ビュッフェでした。試験後はあまり食事が胃に入りませんでした。。

 

2日目の後はJaneStreet Hubがありました。これはEGOIであったものとかなり似ており、ゲームやパズルのほか、ブレスレットなどを作れるコーナーもありました。私はUNK1とお揃いのブレスレットを作ったのですが、私のものが即壊れてしまいかなり悲しい思いをしました...泣

 

 

ブレスレットメイキングのコーナー

 

晩御飯はホテルの8階で食べているのですが、この日は花火をやっており、試験後の良い思い出になりました。

 

Day 4:エクスカーション

今日はエクスカーションの日ですが、団長団はcoordinationをやる日です。Coordinationとは何かというと、団長団が選手のスクリプトを仮採点したのち、coordinatorと議論しながら最終的な得点を決めるプロセスのことです。

 

私たち選手は隣町のPrizrenへ、バスで1時間半ほどかけて出かけました。まずは川沿いを歩いてCity squareへ。川沿いのお店やモスクっぽい建物がとても可愛い街並みでした!

City squareに行った後は、山をハイキングして山の上にあるプリズレン要塞へと向かいました。結構急な坂でしたが、あまり距離がなくそこまで疲れずに登ることができました。

坂の途中の時点からもうテラコッタの屋根が多い街並みが見えてとても美しかったです!要塞まで登ると景色が一際よく、EGMOの運営の方がドローンでみんなの写真を上から撮ったりしていました。

 

 

 

お昼ご飯の後は公園でみんなで遊びました。私は地図の名前をさらに集めたり、ニュージーランドチームでバレエをやっている選手たちと開脚したり、maoというゲームをやったりしました。自分でルールを学べ!とばかりにルールを全く教えてもらえないままプレイして爆死しました。

 

ところでCoordinationですが、午前中にP5以外の5問は全て得点が確定しており、その時点で7-7-1-7-?-0が確定していました。P3の1点はどうやら、私のラフにあった二つの角が等しいというマークによるものらしく、嬉しいサプライズになりました。

P5のcoordinationにはどの国も時間がかかっていました。イギリスチームもほぼ全員が提出した点数よりも低い点数をcoordinatorから出されており、結局ほぼその通りの点数になってしまったようです。私は雑な記述が災いして6点になり、さらにcoordinationで5点になって帰ってきました。

 

イギリスは晩ごはんまでには全ての点数が決まっていたので、晩ごはんではLeaderとDeputy Leaderがイギリス選手がいるホテルにきて一緒に食事をとることができました。ただLeaderもDeputy Leaderも夜まで採点をして、そこから大変なcoordinationをしていたので、疲れすぎてLeaderがニンジンを切れないという事態が発生しました。

 

切れなかった残念なニンジン

 

なんとcoordinationが午前2時までかかっていた国もあるらしく、メダルのthresholdを決める最終会議は翌日の10時に延期されることになりました。私はというと、ワンチャン金メダルがありそうな位置にいそうだとわかっていたので気が気でなく、結局12時くらいまで寝られませんでした。

 

Day 5:エクスカーション・閉会式

よっぽど気が気でなかったようで、午前5時に起きてしまいました。この時点で全員の得点が確定していたので、人数的に金メダルは私の得点からか、その一点上からだろうとわかりました。より気が気でなくなりました。

 

この日はお昼までエクスカーション、夕方から閉会式の予定でした。まずエクスカーションでは近くのショッピングモールに出かけました。9時半についたのに、モールは10時オープンで横転 この時間にさらに地図に名前を集めました。

 

 

モールの上の階に脱出部屋やゴーカートなどができるところがあったので、イギリスチームで脱出部屋に行ってきました。列車内の殺人事件の犯人の手がかりを探していくというものだったのですが、なかなか難しく脱出に失敗...。でもとても楽しかったです!他にもホラーのもあって、隣からものすごい叫び声が聞こえてきました。

 

ちょうど脱出部屋から出てしばらくモール内を散策して椅子で休憩していたところ、全てのメダルボーダーが決まりました。私はちょうど金メダルボーダーで金メダルが確定し、とてもホッとしました。

ちょうど夕方ごろは道が混雑する時間帯だそうで、それを加味して予定よりもだいぶ早く出発することになってしまい、閉会式に向けて大慌てで準備をして向かいました。閉会式は開会式よりも華やかな装いの人が多い印象で、特にチュニジアや中国などは煌びやかな伝統衣装を着ていてとても可愛かったです!他にも、ラトビアの選手たちはみんなお揃いのワンピースを着ていてとても素敵でした。

 

あんなに早くホテルを出たのに、閉会式は30分遅れて始まったのでちょっと笑ってしまいました。それまでは隣に座っていたJPN1や、後ろにいるイタリアチームとおしゃべりして過ごしました。JPN1や私の他にも、EGOIに出ていた人たちが多く集まっていて懐かしい気持ちになりました。

 

閉会式では、メダルの授与のほか、大会のまとめビデオで思い出を振り返ったり、次の大会開催地であるフランスからのメッセージが届いたりしました。これまでこんなに数学で良い結果を出せたことがなく、運や環境、色々な人のサポートがあってここまで来れたことと最初で最後のEGMOであることに感傷的になっていました。

 

イギリスチームはヨーロッパで5番目、全体10位という良い結果を残すことができ、BMO運営であるUK Maths Trustの方達も喜んでいると聞いてとても嬉しくなりました!

 

Day 6

イギリスチームは午前中の便だったので、朝早くにホテルを出発してあっという間にコソボを去ってしまいました。Day 1などを考えれば随分と前のような気がするのですが、とても最近だったような気もして、楽しいイベントは風のように去っていくものだなあと思うなどしました。

 

EGMOやEGOIではたくさん物をもらうので、荷重制限が奇跡のギリギリを起こしてしまいました。将来のEGMO・EGOI代表の皆さん、荷物は減らしていきましょう。

荷重制限20kgで、実際20kgちょうどでした

あとがき

今回最初で最後のEGMOでは、競技目標としてはメダルを一枚、全体目標としては体調に無理のない範囲でイベントを精一杯楽しむ!というのを掲げていました。そのため問題の内容や難易度の運がよく金メダルを取れたことは予想外の結果で、満足以上に自分が驚いています。また全体目標も、地図には153人の名前を集められたこと、オーストラリアやスイス、ニュージーランドや日本の選手と仲良くなれたこと、UNK1との仲が深まったこと、観光も十分に楽しめたことを考えれば達成できたと思います。

 

最後に、私は数学が好きだった期間が情報よりもかなり長く、ここまできた道のりはさまざまな方の協力や良い環境があってこそでした。小学生の時に数学に興味を持たせてくださった先生、数オリに触れさせてくれた中学の数学研究同好会の同級生や先輩たち、イギリスに来てから自由にオリンピックの数学をさせてくれた数学の先生たち、そして2年前ただ普通の日本人の私にトレーニングをつけてくれたUK Maths Trust(UKMT)、そのほか数学の質問に答えてくださった方など、全ての人に感謝しています。

 

特にUKMTには多大に助けられたと思っており、私に自信をつけてくれたと思います。私が中学校で入った数学研究同好会では、素晴らしい同級生に恵まれました。例えばEGMO日本代表になった人や、中一の時すでに高校物理をやるなど常日頃から新しいことを学んでいた人など、彼らがあまりにも素晴らしすぎて、自分はあまり同好会に貢献出来ていない自覚がありました。

しかし、初めて春合宿でケンブリッジ大学に来た時の感動や、ウェブサイトに名前が載るなどの積み重ねを通して自分に自信をつけてさらに頑張ることが出来ました。初めての春合宿で教えていただいた内容は、TSTや今回のEGMOなどでとても役立っています。

 

イギリスのマスコットたち 右のDuke Dominic IXはチームマスコットなので、次年度のメンバーにメモを入れて渡すのが伝統です

 

また今回のEGMO2025の運営に関わってくださった皆様に感謝します。素晴らしい経験をさせていただきありがとうございました!

 

 

*1:2024年度時点

*2:コソボでは飲み水が飲めないことと、私のお腹が弱いことを考えて

EGOI2024 日本代表としての参加記

European Girls' Olympiad in Informatics (EGOI) 2024オランダ大会に日本代表として参加させていただいたので、参加記を書きました。

  • 競技内容の言及があります。
  • 競技以外のことも話しているので必要に応じて飛ばし飛ばし読んでいただけると嬉しいです。

春合宿:JOIG 2023/2024 春季トレーニング参加記 -

前回:EGOI2023 イギリス代表としての参加記 -

 

Day -1

気合いを入れるために日本の国旗の色でネイルをしてきました。交流中も何人かに気づいてもらえたので嬉しかったです。

ohoraのネイルです

また、昨年のIOI日本代表であるblackyukiさんの参加記を参考に、私も世界地図に選手たちの名前を集めるという企画を持っていきました。四枚で世界中をカバーしているファイルセットを購入しました。

 

Day 0 (Arrival)

いつもは羽田空港を利用しているので、初の成田空港の利用経験になりました!朝に集合して、朝ごはんを食べつつ壮行会にてユニフォームや他の選手に配るペンを受け取りました。壮行会には役員の方々の他にも情報オリンピック日本委員会の方々もきてくださり、このレベルのサポートがあるのは本当にありがたいと改めて実感しました。

さらにもちろん団長と副団長の凄さはいうまでもないのですが、随行員の方が日本で一番レートが高いと聞いて、そんな人が呼べるなんて贅沢だなあと思いました。

 

飛行機が1時間遅延していたので、写真撮影などもしつつゆったりと飛行機に搭乗。さて、日本からオランダまでは行き13時間ほどかかります。遅延前の予定では現地に夜七時に到着する予定だったので、実際は夜の八時過ぎに到着しました。そこから荷物を受け取り終えた時には九時を回っていました。。

アムステルダムスキポール空港(日が落ちるのが遅くてまだ明るい)

 

慌てて電車に乗り込みますが、なんと乗った電車が一本違ったことが判明。全然違う駅に着いてしまうので、その前に次の駅でとりあえず降りるかと話していたところ、私の前列に座っていた現地の方(と思わしき人)が「次ではなくそのさらに次で降りると良い」と教えてくださいました。これがなかったらさらに遅く到着していたと思うと恐ろしい...。英語ができてよかった。教えていただけて助かった...

 

そして合計2回の電車の乗り換えと(本当は乗り換えなしだった)、さらにEindhoven駅からバスに30分ほど揺られてホテルに到着しました。ホテルは3階くらいまでしかない代わりにものすごく広く、部屋に着く頃には日付が変わろうとしていました。急いでシャワーを浴びて一時半に就寝。大変なスタートでした!

真夜中のホテル

ちなみに今回は私JPN1とJPN3が相部屋、JPN2と4が相部屋でした。

Day 1 (Opening Ceremony)

朝食は去年と同様ホテルのビュッフェで、とてもおいしかったです!ソーセージやベーコン、スクランブルエッグなどの定番から、豊富な種類のパンとパンケーキ、ワッフルメーカーまでありました。初日に飲んだ赤色のジュースはとても不思議な味がしました。

 


なんとこの朝食で、イギリスの数オリ友達に会えました!前から仲良くしていたのでとても気分が上がりました。

イギリスの数オリ春合宿には毎年6人女子がいるのですが、そのうち3人EGOIにいることも凄いですし、さらに全員背負っている国旗が違うというのもなかなかです(日本・インド・イギリス)。全員広義でイギリスに住んでるのに....

 

朝食後は、九時半ごろにバスでEindhoven University of Technology (TU/e)に出発。大学内のホールで開会式が行われました。はじめに大学のダンスチームのパフォーマンスからスタートし、オランダの教育庁の高官の方や大学の教授などから開会の言葉をいただきました。政府の人が来るなんて気合いが入ってますね。

ここではコンテストを楽しむこと、結果に関係なくこの場にいることが素晴らしいことであること、そして将来女性の活躍と情報分他の発展は必要不可欠である、とのメッセージを受け取りました。

ホール前のロビー

 

開会式が終わった後のランチが完全ベジタリアンでめちゃくちゃ怖くなりました(去年のデジャブ...)。

 

開会式の前後のかなり時間があったので、このうちにお土産のペンを配り切ってしまおうと思い交流に励みました。ファイルのサインもかなり集まりました。会話の最初のネタになるので交流がとてもしやすくなりいい感じでした!

 

その後はホテルに戻ってプラクティスに向かいました。その前に団長に聞いておいたインタラクティブの部分点解法を実装したり、キーボードや文字の設定の確認などしました。システムは去年と全く同じなので特段問題なく終わりました。

晩御飯の後は、長旅の疲れが出て日本選手は全員部屋に直帰しました。交流したかったけど仕方ない...

晩御飯会場。結局食事はベジタリアンではなかった

Day 2 (Contest 1)

今年は競技開始時間が9時から8時に早まったので、朝がとても忙しかったです。時差ボケはほぼ治っていましたが、少し残っていたので夜より朝の方がマシだったのが救いでした。

 

(競技内容ネタバレ)

1問目が相当変わった問題だと感じました。三度見くらいしました。変わっているので意味を汲み取るのに少し時間がかかった上、嘘解法にあまりにも引っかかりやすい問題に見えました。ただ、流石に難易度順で並んでいるコンテストの1日目なのでシンプルな解法があるだろうね、と思ってすぐに満点を考え始めました。

嘘解法を5回くらい考えては消したりした後、いや冷静になれ!と思って確実な観察結果を整理したところ、「同じ人をまた抜かしたら前回抜かした時より一周以上進んでいる」ということだけが確実なのがわかります。これを元に各クエリの暫定結果を記録しつつmaxを更新していくと満点が取れました。ここまで三十分くらいだったような気がします。

 

2問目はみるからにDPっぽいのでとりあえず小課題の解き方を考えると、満点以外は割とすぐにわかるのでとりあえず最初のいくつかを実装して部分点を取ります。二乗解法を高速化することを考えると、配るDPにすればそれまでの(右端で一番最初に次の花を置ける位置)にDPの値を記録していくと更新がlogでできるので、O(NlogN)で解けそうだと考えます。これまでで1時間半くらい。

 

ここの実装途中で確かお手洗いに行ってしまったのですが、これがなかなか良くなかった(競技前にもう一度行っておくべきだったorコーヒー飲みすぎなければよかった)と思います。なぜなら三問目と4問目の部分点取りにかなり苦戦したからです!!お手洗いにもう少し後で行って頭をリフレッシュするべきでした。

 

三問目のTeam Codingは、まず二乗を書いて落ちてしまったので小課題1を取りに行きました。その後バグが見つかったので二乗を通せたのはいいのですが、K≤2の課題が思いつきそうで思いつきませんでした(後から聞いたら途中の考察はいい線行っていました)この惜しいところがいつも足りないなあと痛感します。いい線行ってるのにそれを最後まで結びつけられないというか…

 

四問目はインタラクティブですが、ものすごく難しかったです。1時間弱考えても最初の小課題すら思いつくことができず、かなり焦りました。そこで最初の小課題ではなく他のを考えてみよう、と小課題3に移ったところ何故かそっちから思いついた(!?)ので、これを解けたということは1も解けたことになります。実装して19点をとることができました。4,5を頑張って考えましたが、端の処理がどうしても思いつかず頓挫しました。

 

100-100-25-19=254で初日を終えました。簡単目なセットに感じたのと、部分点を取りきれなかったので爆死したかなあと思いましたが、意外とそうでもなく日本チームギリトップでした。一問目がどうやら圧倒的に早かったらしいです。いい話のようですが、早解きが得意で難しい問題を解き切ったり部分点取るのが苦手なのがもろに出てるんですよね…。

この時点で銀メダルの上の方にいました。最悪の結果が出た時の気持ちの準備をしていたので(ビビり)かなり嬉しかったです。

 

コンテスト後は、団長のE8さんにCのK≤2を教えていただいたのでそれを実装しました。その次も教えていただいたのですが、時間切れで実装しきれず。アピールで団長団がついて実装を見てくれたり、解説をしてくれたりするのは本当に贅沢だと感じました(イギリスにいるとそういうのゼロなので)。とてもありがたかったです。

 

その後はknowledge fairがあり、HUAWEIのブースでgarbage collectionとJavaの話を聞きました。メモリ管理の話で、言語の中身の話やJavaについては初めてだったのでとても興味深かったです。晩御飯を食べて、この日は終わりです(また直帰しました。交流…)(でもサインはちびちび集めてました!)

 

Day 3 (Excursion)

エクスカーションでは朝ごはんを食べた後から夜ご飯までをEindhovenで過ごしました。3グループに分かれて三部構成をローテーションする感じでした。

 

まずはクラフトのワークショップ。工具や電子部品のパーツなどがおいてあるファクトリーで、未来都市をテーマにクラフトしました。私は初対面の子と電子部品をメインにテックハウスを作りました。久しぶりに工作をしたのでかなり楽しかったです!!ファクトリー自体もすごく可愛かったです。JPN2と3は一緒に風車を作っていました。

みんなの作品たち(JPNs作はどれでしょう?)

初対面の選手と作った謎テックハウス

お昼の後は映画館に向かいました。Hidden Figuresという、三人の黒人の女性が宇宙開発の領域で活躍する様子を描いた映画です。史実に基づいているそうで、実際に名も無い貢献者の人たちがこの世にはたくさんいるんだろうなあ、と思いました。

個人的に思い出したのは「栄光なき天才たち」という漫画で、天才的な能力を持ちながらも何かの不運であまり注目を浴びなかった人や、今そこそこ有名ではあるがその当時全く評価されていなかった人などに焦点を当てた伝記漫画シリーズです。ここに出てきそう。

 

その後は、美術館に向かいました。MUという美術館で、名前の由来は「無」からきているそうです。バッタがカメレオンに食べられる映像を見たりしたのですが、その後は日本チームとその他の友達で一緒にジェラート屋さんに行きました。ユーロを使うチャンス!!

クリームブリュレ味です

そして街をまわりに繰り出しました。時間がなかったので道の反対側の公園くらいしか行けなかったのですが、イギリスやギリシャの選手とお話しできたのでなかなか楽しかったです。

可愛いオランダの街並み

 

Day 4 (Contest 2)

さっそく競技について書いていきます。

一問目はすんなりと考察を進めることができました。まず親友の繋がりはたかだか一回しか使わない(それ以上は無駄)であること、またそうすると遠くの親友を使う意味もないことがわかります。そのため近くの親友持ちの人をにぶたんして、三通りから一番近いものを選べば終了です。ここまでで四十分程度でしょうか。

 

2問目が本当に無理でした。嘘の貪欲解法で小課題が二つ通ったのですが、ここから正しい貪欲に持っていけず、また部分点も考えられなくて結局時間を使ったのに25点しか取ることができませんでした。

反省点としては、嘘を思いついた後に修正しようと思った時に頭が固まってしまった、切り替えられなかったことが挙げられます。この問題が金メダルと銀メダルの差だったように感じます。これを自力で解けるようになりたい…

 

2問目で本当に点数が取れないぞとなった時、3問目に進むと意外といけそうだということがわかりました。60点分のにぶたんをすぐに思いついたのですが、最初の処理が意外と難しくてまずは小課題1を取りました。その後最初の処理を頑張って実装し、58点を取れました。この時本当にホッとした…。

 

3問目の最初の処理が難しいぞとなった時、4問目にも手を出しました。これは小課題ごとに考えればわりかし部分点がもらえそうだ、と思い順番に実装していきました。ただ見た目より難しく、ちゃんと全部のケースを考えないと嘘になってしまうのが怖いところでした。小課題1を取った後、小課題2のパスのやり方を思いついたので実装したところ3もついでに通りました。木の場合もかなり考えましたが、思いつかずじまいでした。

 

結果は100-25-58-34=217で、二日間の合計は100-100-35-19-100-25-58-34=471で銀メダルでした。金メダルまであと八人くらいなので割といい位置でしたが、点差はそんなに近くなかったのが実力差を表していたと思います…。JPN4には二日目の点数で圧倒されました。やっぱりすごい!!

 

1日目の結果を見て金メダルをかなり本気で目指していたので、終わったあと結果を見た時はかなり悔しかったです。敗因は1日目のK≤2が解けなかったことと、二日目の2問目でしょうか。でもJPN4には2日目の3問目の点数でも全然負けているのでそこも精進が必要なところです。

 

競技の後は少し休憩した後、JaneStreet Hubでゲームをしてきました。私はJPN3と他の選手とポーカーをやっていました。ポーカー、前の学期に学校でたまたま友達とやっていたのでラッキーでした。よかった…!!!

 

晩御飯を食べた後は、JaneStreet Hubに戻って日本チーム(副団長と随行員の方も一緒に)で最高難度の謎解きにチャレンジしました。やはり最高難度を謳っているだけあってかなり難しく、1時間くらいは時間をかけたような気がします。最終的に箱の鍵を開けられた時の達成感と言ったらそれはもうすごかったです。その後は、スウェーデンやイギリスの人たちとしばらくおしゃべりをしてから帰りました。

 

Day 5 (Closing Ceremony)

この日は朝からセレモニーとキャンパスツアーのために大学へバスで向かいました。開会式と同じところです。とても綺麗な大学で、ガラス張りの通路に卒業生の名前が全員分書いてあるのが壮観でした。建物は思ったよりもかなり大きくて高く、色々な場所が一つに繋げられていました。図書館もとても広く、街を一望できるような高いところも見せていただきました。

Maths & Compsci dep

その後はお昼を食べ、閉会式までまたサイン集めを頑張りました。なかなかもう人数が集まってきたので、逆に書いてもらっていない人を探すのがとても大変でした…。もっと全然いるはずなのに!

 

そして閉会式では、スクリーンとマイクのトラブルがありましたが、用意していた動画などは無しで無事に行うことができました。また教育庁の別の高官の方がきていてびっくりしました。

今度はスポンサーの方のスピーチも聞いてから、メダルの授賞式。去年イギリス代表は国旗がなかったので(今年もなかった笑)、国旗を掲げてメダルをもらうという行為はとても誇らしくなりました。

どうやらイギリスの国旗がない理由としては、イギリスが世界の半分を植民地にしたからBIO(イギリスの情報オリンピック委員会)としては用意しないということらしいです。選手の自前なら大丈夫だったのですが、見つけられなかったとか。

最後に関わった全員に感謝を述べて、写真をたくさん撮って大学を離れました。

 

晩御飯を食べた後はclosing surpriseとなっていました。内容はみんなで歌を学ぼうというもので、私も聞いたことがあるunstoppableという曲を学びました。ただ歌うだけではなく、3グループに分かれてハモリまでやりました!この時友達に引き連れられてみんなの前に立って歌ったりもしました笑。

 

練習の後はこの歌を団長団に披露して終わり、だったのですが、実は今日は私の18の誕生日だったので、大会から誕生日プレゼントが渡されました!オランダの名物ストロープワッフルと、ガイドさんのサインが入ったメッセージカードをいただきました。

  


そのあとは海外のパーティーの定番、ディスコです!ただここでもサプライズがあり、イギリスの数オリでの友達が二人がサプライズで誕生日を祝ってくれました。お昼の時に何かやっているなとは思っていたのですが、まさかケーキに何十人もサインを書いたカードまでくれるとは思ってもみなくて、思わず涙が出てしまいました。国際交流と英語、頑張ってよかったな!

その後はしばらくディスコで踊った後、友達にさよならを言ったり荷造りをしたりして寝床につきました。あっという間の一週間でした。

 

大会を終えて

まずはやはり、情報オリンピック日本委員会の手厚いサポートに深く感謝しています。昨年イギリス代表団にいたことでありがたみを特に実感しました。コンテスト後に解説していただいてアピールの時に実装をチェックしてもらったことや、スケジュール確認、ユニフォームやお土産の提供など、昨年私にはなかった支えのおかげで快適に楽しく大会を終えることができました。

そして、国際交流の楽しさは何にも代え難かったです!世界地図プロジェクトは、最終的に28カ国から105人のサインを集めることができました。将来の日本代表の方々にもぜひ国際交流を頑張ってほしいです。コンテストも大事ですが、やはりより多くの時間を使うのは交流の時間ですし、友達同士のつながりはこれからも残るものです。

105人のサイン入り地図

イギリス人(広義)3人

コンテストでは金メダルを取れず情けないですが、銀上位という結果には比較的満足しています。私は最初から結果が出ていたわけではなく、ここに来るまで四年間続けてこなければいけませんでした。その分、天才じゃなくても長期間頑張ればある程度の結果が出せることを伝えていきたいです。これからも精進を続けていきさらに強くなれるよう、頑張っていきたいと思います。

 

最後に、このような機会を与えてくださった情報オリンピック日本委員会の方々、サポートしてくださった役員の方々、また応援してくださった全ての方に感謝を申し上げます。とっても楽しかったーーー!!!

 

JOIG 2023/2024 春季トレーニング参加記

日本情報オリンピック女子部門第4回の春季トレーニング(2023/2024)に参加させていただきました。JOIGの方はあまり参加記がなさそうなので、書いて少しでも女子部門を盛り上げたいという魂胆です。問題の方針のネタバレはありませんが、どの順番で解いたなど競技中の行動についての軽めの言及があります。

 

今までのJOIG歴

今年が私にとってのラストイヤーなので、JOIG歴を軽く振り返りたいと思います。

ちょうど競プロを始めた時にJOIGの第一回が始まったので、運よくその時から参加させていただいています。

  • 第一回:なぜこの時優秀賞が取れたのかよくわかりませんが、とにかく驚き、自分に競プロの才があると思い込み始めた頃です。結果として競プロを続けるきっかけになりました。
  • 第二回:競プロの才は実際には無く、調子に乗った結果ボーダーの数点下で春季トレーニングを逃しました。目が覚めました。
  • 第三回:第二回の反省から頑張り始めた結果、本選で銅賞をいただきました。
    ただこの時もまた調子に乗った結果、春季トレーニングでは初日最下位・最終日は下から2番目という散々な結果を残しました。場にのまれたことやしょうもないミス*1なども点数が下がった原因でしたが、それ以上に実力が全く足りませんでした。
  • 第四回:四度目の正直で、これが今回です。

JOIG第一回表彰式の思い出です。同じビル内にありました

本選

四完までスピードでできましたが、それ以外は全くダメでした。特にE問題は満点が思いついたのに、実装が微妙に違って全然点数がとれていませんでした。

春季トレーニングに通るか通らないくらいかだと思いましたが、蓋を開けてみるとまた銅賞で目が飛び出ました。ただ合格最低点との点差があまりなかったので、今回は大波乱 and/or 皆実力が似ている、と感じ春季トレーニングが怖くなりました。

本番まで

かなり前から難易度7から9を順番に埋めていました。8からかなり辛くなってきたのを覚えていますが、なんとか少しずつ解き進めていきました。ただ、色々他の予定が詰まっていて正直精進量は足りなかったと感じています。

Day 0

表彰式では、何回か会った方も初めて会う方もたくさんの人と交流ができて楽しかったです。昨年と違って、今年は企画がいくつかありました。人と交流してシールを集めるものは全完して、ペーパータワーを作る企画は安定性では一位だったと思います。

式の後にプラクティスがありました。問題セットは昨年と全く同じだったので、競技しやすい環境構築がきちんとできるかの確認に重点を置きました。

Day 1

この日、JOIGは競技がありません。交流会と講義が行われました。

交流会

自己紹介を一周してから、名前を覚えるゲームやUNOやitoなどのカードゲームで遊びました。ほとんど初めて会う方々だったので最初は空気が硬かったですが、カードゲームは盛り上がったので少し打ち解けてきたかなと思います。なんと半分が中学生ということで、日本の未来は明るいなと感じました。

bento1

講義

東京医科歯科大の先生が情報の医療分野での講義をしてくださいました。1時間半ほどで、かなりガッツリとお話が聞けたかと思います。

特にAIの活用についてがメインフォーカスで、乳がんの特殊性やAIがどのように抗がん剤やコロナの薬に活用されていたか、情報学の重要性などについてのお話を聞きました。こういった医療x情報には興味があったことに加え、個人的に乳がんは関わりのあるお話だったので、とても興味深かったです。

Day 2

実は四日間ともJOIG勢では一番乗りに会場についてPCで色々やっていました。この日がなんと書いていた論文の締め切りで、この日ギリギリまで編集をしていたこともあってか競技はあまり緊張しませんでした。昨年の反省で緊張しすぎると場にのまれることがわかっていたので、これは良い精神状態だったと思います。

競技

まず1問目から見始めます。かなり解きやすそうな見た目をしていたので、早く満点を取っておきたいなと考えますが、すぐには解けなさそうなのでまずは小課題を見ていきます。小課題1の愚直をまず取った後、小課題2をヒントにして満点がわかりました。実装もとても軽くて、ここまでで25分です。

 

2問目からいきなり難しくなります。愚直を実装してみますが、実装が個人的に重くて何かをバグらせてしまったため、早々に3問目に移行します。満点は2問目より難しそうでしたが小課題は明らかに取りやすそうだったため、途中まで取って少し考察して伸ばしてをしばらく繰り返します。

しばらくして2問目に戻ると、シンプルめな実装方法が思いついたので書いて部分点を取ります。また少し考察して小課題を順番に取っていきます。

 

とりあえずパッと思いつく解法で解けそうな小課題ができたので、考察を頑張るかcommunicationに手を出すかの二択になりました。ここでcommunicationを頑張りましたが、小課題1から微妙に違っていて結局0点で終わってしまいました。

 

競技後

競技の日はお弁当の写真を撮るのを忘れました。

半分の200が取れていなかったのでボーダーギリギリくらいかなと感じましたが、明らかに皆お通夜でした。順位表を見ると第2位で、落ち着いて小課題を取っていったのが良い方向に向かったと思います。

 

この日はえらーめぐさんと一緒に帰ったので、少し仲良くなれました。

 

Day 3

この日、JOIGは競技がありません。再び交流会と講義の日です。

交流会

交流会と名がついていますが、今回はチューター企画でiro_さんがランダムケース生成について教えてくれました。重要スキルなのはわかりつつ今まで全くやったことがなかったので、とても役に立ちました。ただこれをコンテスト中に実際にやるのはきつそうで、これを機にもっと慣れる必要がありそうだと感じました。

 

有名なりんごのぬいぐるみが置かれていたことから、みんなのマスコットを集めて写真撮影をしました。可愛いの天国。

JOIG集合写真(マスコット欠席の方もいますが...)

余った時間でまたカードゲームをやりました。iro_さんおすすめのトランプのゲームを布教された後、チューターであるしろいあづきさんおすすめのセットというゲームを楽しみました。数オリ界隈では有名らしいです。両方とも知らないゲームだったのですが、かなり楽しかったです。

 

この日のお昼ご飯は情報科学の達人*2とGCI*3の話になり、チューター並みに私が喋ってしまい少し反省しています。でもしろいあづきさんが「いい話を聞いた」と喜んでくださっていたので、嬉しかったです。お昼にはblackyukiさんも来られました。

bento3



最寄駅である駒場東大前駅にあったGCIの広告

講義

今日の講義は女性の東工大の研究者の方で、マッチングに関するお話や女性のキャリアについてのお話を聞きました。ポピュラーマッチングというのが最近ホットなトピックだそうです。マッチングの話は以前に何度か聞いたことがありますが、これは初めて聞くお話でとても面白かったです。

女性のキャリアについては、日本の情報での女性研究者の割合は国際会議に比べてもかなり少ないそうで、進路の途中から女性一人だったことに加え国内では会議でも女性一人なことがざらにあるそうです。想像以上にシビアでした。

 

この日もえらーめぐさんと一緒に帰りました。明日出そうな問題を予想したり*4、学校や共通の趣味の話などをして、結構仲良くなれたと思います(私個人の感想)。明日一緒に代表になれるといいなと思ったりなどしました*5

参加者の方が、置いてあったチョコレートのフィルムを綺麗すぎる鶴にしていました

Day 4

今圏内なのに落ちたら最悪だという思いからか、Day 2の100倍緊張していて、心臓が口から出そうでした。ただ実際に朝会場に行ってみるとやはり一番乗りで、不思議と緊張はかなり緩和されました。

競技

全体的にDay 2よりも易しめなセットに感じました。ただ1問目はDay 2よりも考察が必要で、今回は55分くらいかかりました。

2問目は愚直を書くのに満点の本質と違う解法を書いてしまい、それを正すのにかなり時間がかかってしまいました。ここがもっと早く見えているべきだったと思います。ただ、2時間半か3時間くらいで満点が取れたと思うので結果的にはよかったです。

 

この時間の掛け方が悪く、3問目と4問目の部分点は合わせて35点しか取れませんでした。4問目は考えるのが大変そうだったので3問目をもっと伸ばそうと思っていたのですが、取ろうとしていた部分点の考え方が違いました。また、割と重要な性質に気づいていなかったのでそれに気づいていれば点数がもっと取れたと思います。

点数は100-100-20-15=235です。総合は411点でした。

 

Day 2の振る舞いには満足していますが、この日はもっとうまくやれたところがあると思います。結果は総合2位で、無事にEGOI 2024の日本代表になることができました。

 

まとめ

IOIもEGOIも中二の代表が誕生したということで、日本の未来は明るいと思いました2。自分の話だと、4年目にして長年の目標を達成できて感無量です。JOIGを運営している方には本当に感謝しかないです。

 

JOIGは次年度から二次予選までJOIと共通になり、春季トレーニングも上位10人から15人になるそうで、レベルがだんだん上がっていることを実感しています。自分が女子部門に対する意見を吹っ飛ばせるほどの能力を身につけられていないのが申し訳ないですが、今後の方達には頑張ってもっと盛り上げていってほしいです。

 

これから春季トレーニングに参加する方への教訓としては、カタカタする音がストレスフルなので耳栓が苦手でない人はできるだけ持っていくこと、緊張はできるだけほぐして場にのまれないようにすること、小課題は落ち着いてとること、です。

 

EGOI 2024での目標は、日本チームで一番国際交流をすることと、金メダルを取ることです。夏までまた頑張ります!

*1:https://x.com/clara775_kyopro/status/1637719211337465856?s=20

*2:

www.nii.ac.jp

*3:

gci2.t.u-tokyo.ac.jp

*4:この予想はわりかし当たっていました。すごい

*5:えらーめぐさんも日本代表になりました

高校生がフォルシア株式会社でインターンをした話

今年の夏休みにインターンをさせていただいたので、その体験記かつ会社のご紹介です。

インターン探しの経緯

探し始めたのは2月ごろのことでした。海外大学受験を見据えるとインターンをしておいた方が良いのではないかと思い、学校からも「夏休みは職業体験やろうね」と言われていたことから、早いうちにどんなものがあるか見当をつけておこうと考えたのです。

結果的に、2月中に一社オンラインで面談するところまで漕ぎ着けました。お話を聞いて夏休みいっぱいのインターンの内定をいただき、そこで一旦インターン探しは終了しました。

 

しかし、7月初頭に事件が起こります。その会社から会社側の都合でインターンを全員停止しなければならない、と通知されたのです。

というわけで、ここから再びインターン探しの旅を始めました。

 

しかし問題は、この時点で7月10日だったことです。そもそも高校生用のインターンのプログラムはほぼないですし、あっても応募はもう終わっているものしかありませんでした。大学生向けのものに応募してみることを考えても、そちらも応募は終わっているものがほとんどでした。

 

そこでどうするか。私はとりあえず複数の会社のお問い合わせ欄からインターンができないか突撃することにしました。自分のスキルセット的に競技プログラミングに理解がある会社が良いだろうと思い、CodeQUEENのスポンサーをされていた複数の会社にお問合せをしてみました。

 

その結果、一番早くお返事が来たのがフォルシア様(以下敬称略)でした。しかもオンライン面談をしませんか、との前向きなお返事で、私は飛び上がるほど喜んだのを覚えています。

 

しかも、対応してくださった人事の方が気を利かせてくださり、フォルシアでCodeQUEEN本選に参加する予定の三人の女性エンジニアの方も面接に同席していただくことになりました。ここで、私の能力や経歴や条件のすり合わせをしていただき、無事内定のお知らせをいただくことができました!

この面接の時、私にどんな課題ができそうかを私の希望や経験を聞いて探ってくださった感じがして、この時点でとても良い印象を会社に抱いていました。

 

いざ出社

今回のインターンは、7月末から8月末までの一ヶ月間でした。インターンする時には出社するというお約束だったので、毎回オフィスに出社していました。ここでメンターの方にお会いし、その方に見ていただきますよと言われて出会ったのがまさかのdokinさん(超つよつよの人外の方)。ここでdokinさんが何者なのか知らなかった自分に全力で喝を入れたいです。贅沢すぎます。

何をしたのかざっくり書いていきます。

研修用課題

今回のインターンでは、フォルシアでも重要であるSQLの高速化に取り組むということで、まずはSQLの基礎研修課題から始めました。環境構築が大変でしたが一つ一つ教えてくださりとてもありがたかったです。

SQLはGCSEのComputer ScienceとGCIで超基本構文を学んだことがあっただけだったので、ここである程度使いこなせる様になったと思います。

 

そして続いてSQLの高速化課題に取り組みました。競プロをやっているとはいえ、SQLの高速化の方向性は全く見えておらず、コツや手法を教えていただいて手探りで課題に取り組みました。工夫を重ねることによって実行時間が1/10にも1/100にもなるところは、自分の努力の成果が感じられてとても楽しかったです。

実務課題

実務課題ではRustでSQLへ組み込む関数の実装に取り組みました。このフローはインターンの初めに言われていたので、実務課題が近づくにつれて「私Rust一回も書いたことないぞ」という危機感が高まり、親切なフォロワーさんがたに教えていただいてHello Worldを自分で書いてみたりしました。

課題を作ってくださった方も競プロをされていたそうで、競プロの問題の書き方にかなり寄せてくださっていて嬉しくなりました(問題文、制約、入出力例などがフォーマットをかなり寄せて書かれていました)。

 

想定解がなかなか思いつかず、一番重要なライブラリをメンターの方に教えていただきつつなんとか終了することができました。ここでRustの実装にもかなりなれることができたと思います。Rustは厳しい言語なのかなという印象を持ったので、競プロで使われている方はすごいです。

実務追加課題

方針を教えていただいた後の実装だけは早くできたので、今までの課題を発展させた追加の課題を用意していただきました。こちらは実装メインの課題だったため早く終わらせることができ、自分の強み弱みをよく認識することができました。

インターンを終えて・会社の良いところ

フォルシアでのインターンを終えて、正直にとても働きやすくて良い会社だと感じました。詳しく書いていきます。

周りの方の優しさ

信じられないほど優しい方ばかりでした。メンターの方々はもちろんのこと、同じ部署の方が「休憩してますか」と声をかけてくださったり、全く違う部署の方が通りすがりに挨拶しに来てくださったりと、周りの方の親切にとても助けられました。

ある方がフォルシアの社員は社会性フィルターがかかっているとおっしゃっていましたが、会社のHPでも直接顧客とやりとりすると書かれているだけあって、本当に皆さんによくしていただきました。ある方にはランチ終わりに連絡先を交換し、あだ名で呼んでいただき、ランチ前に私の学校を事前に調べてくださった上にゴンチャまで奢っていただきました。

競プロerの多さ

紹介していただくときに、自分も競技プログラミングをやっておりまして、と名乗られる方がすごく多くて驚きました。パッと思いつくだけでも10人くらい*1はお会いしたと思います。暖色コーダーや青の方、中には赤色まで強い方ばかりでした。

CodeQUEENでは1位と3位がフォルシアの方だったということで、オンサイトでもフォルシアの強さが際立っていたと思います。フォルシアでは社員の方が企画しているゆるふわオンサイトのほか、定期的に集まって開催される競プロ会もあり、活動も活発です。私も期間中の競プロ会に二回参加させていただきましたが、暖色コーダーの方々の高度な会話を横で聞くことができたので、とても貴重な体験ができました。

福利厚生の厚さ

詳しくは会社のHP*2をみていただければと思うのですが、福利厚生がしっかりしていらっしゃる会社です。また交流を兼ねて違う社員の方とランチする機会を設けてくださり、皆さんのこの仕事に就くまでの経緯や競プロの話などをたくさんすることができて有意義な時間を過ごすことができました。

まとめ・インターンをしよう

結論として、インターンをやってすごく良かったです。

進路に悩んでいる私にとって、インターンの経験はある種の自信になりましたし、自分の能力の幅を広げるチャンスにもなりました。

また競技プログラミングをやっている・いた方が多いことから、お話を聞くだけでも参考になったものがいくつもありました。実際に、お聞きしたことの一つを大学の学部選びの軸の参考にしています。

 

一般的なことでは、インターンをすることによって社会性が身に付きます。今回は、前回ボランティアをやった際にオンラインミーティングをすっぽかすミスをしたことから、メールのやり取りは逃さないようにしっかりやりとりしました。また、お会いした人に丁寧に挨拶したり、すれ違った時会釈したりといった社会人として当たり前のことも身につけられたと思います。

 

高校生でインターンをやらなければいけなかった状況は珍しいかと思いますが、これが就職前であれば尚更、さまざまな側面からとても役に立つと思います。やはりインターンをするとその会社を内側から知ることができるというのは大きなメリットだと思います。

 

インターンをしようかどうか迷っている方は是非恐れずにやって欲しいです。ぜひフォルシア株式会社のインターンも検討しましょう。

改めまして、フォルシア株式会社の方には本当にお世話になりました。ありがとうございます!

*1:引退した方も含めて

*2:

www.forcia.com

EGOI2023 イギリス代表としての参加記

EGOI2023がとってもとっても楽しかったのでその参加記です。交流で聞いた他の国の事情など、コンテスト自体以外のことも多分に入っていてすごく長いので、いらないところは流し見していただければと思います。

誰かのお役に立てば嬉しいです!

※問題への言及があります。

各国のOI事情

順番が違いますが、今回大会で聞いた話から学んだOI事情が日本からは想像がつかず面白かったので共有したいです。大会自体を教えてくれという方は飛ばしてください。ちょっとしたお気持ち表明があります。

 

ヨーロッパ

日本代表団の引率の先生によると、日本のように組織的に選手を育てたり派遣したりする国はヨーロッパでは少ないそうです。

それよりは個人経営に近く、割と1人で全てを切り盛りしているところが多いとのことでした。

 

それを踏まえて、イギリスも実際そうなんですよね。

 

ウェブサイトは年に2回の更新しかありません。IOIの結果も載せられません。IOI代表は、誰でも受けられる予選(しかも1ヶ月の間から試験日を選べる)からトップの15人のみをいきなり合宿に呼びます。

 

結果的には私もEGOIチームメイトになった子もギリギリで予選に落ちていたよう。そこでチームメイトがBIOの運営の人に「EGOIという大会があり、参加したいです!」と複数回メールを出し、2ヶ月ほど待って3月末に返信が来て、5月に急ピッチでEGOI選抜の場が整えられたようです。

そして、なぜか2人だけが代表チームに選ばれて、1人のスタッフの方がつきました。

 

それが、今回イギリスが初めて参加する事になった経緯です。

比較すれば、日本の情報オリンピック委員会はとてもしっかりと運営されており、お土産や国旗が用意されていたり、スタッフの方が4人ついていたりというのもとても珍しいし恵まれていることだと今回感じました。

 

なので、参加させていただいているJOI・JOIGの運営の方のありがたみを実感します。

様々なバックグラウンド

今回、国籍としては日本人の私がイギリスを代表してEGOIに参加させていただきました。経緯はツイートした通り、12月ごろにBIOの予選を受験し、3月のJOIG春合宿の後にEGOIイギリス代表選考会の連絡を受けて代表になったというものです。

 

12月頃は、JOI二次予選の準備に加えて学校のフィールドワークにコースワーク、オーケストラの舞台に模擬試験と目の回るような忙しさでした。その中で受けたBIOの予選は、「まあ1度受けてみるか!15人しか選ばれないし。」くらいの気持ちでした。その15人の枠に入るのは、IOIの代表選考ですからとても難しいですし、実際入れませんでした。

 

幸運なことにチームメイトのおかげでEGOI参加の選考のチャンスがもう1度与えられましたが、今までイギリスが参加していなかったことから、EGOI 2023にイギリス代表として参加できる可能性なんて1ミリも考えていませんでした。

 

前置きはここまでで、今大会中に色々な背景を持った人たちと出会いました。

実はEGOIのイギリス代表は、元々は私と、今回チームメイトになった子とは別の女の子で決定していました。ですがその子はイギリスの学校で学んでいるウクライナ人の子で、イギリスの代表選考には参加したものの、その後ウクライナ代表に選ばれたためにイギリス代表を辞退したとのことでした。

 

他にも、生まれも幼少の育ちも現在の居住地も違う人などにもたくさん出会いました。みんなそれぞれ違うバックグラウンドを持ちそれを誇っていると感じます。

 

今の時勢、1人1人違う事情がある中ではっきりとした境界線を決めるのはとても難しいと実感します。だからこそ各国に参加資格のルールがあり、そのルールに則って複数の国で参加OKな人たちは多数いて、両方に参加が認められています。

私も、日本と英国どちらにも都度報告と確認をして、毎度承認をもらっていました。

今回、様々な出会いを通して視野がさらに広がりましたし、イギリスの学生でも日本人でもある私の存在も認められて救われたような気持ちになりました。

 

性自認

これは私の推測の域を出ませんが、外見からの判断からして参加者の中に生物学的男性はいたと思います。一人とかでもおそらくありません。

日本でも女性自認については最近よく話題に上がりますが、EGOIで出会ったそのような方達は、とても可愛い服を着て普段から女性としてずっと生活されていたと感じます。

 

男女どちらがプログラミングをしても差はないよね、だから女性にプログラミングを広めよう、というのがEGOIの根底にあります。(スポーツやお手洗いなど他の事柄は全く関係なく)こうした女性が対象の科学コンテスト・オリンピックでは、本当に自認が女性なら歓迎されるべきだと思うので、少し嬉しくなりました。

EGOI 2023

day -1

緊張のあまり、本気で心臓が口から飛び出そうでした。shiborimameちゃんから教えてもらったキーボードを買ったり、マスコットを勢いで3つ買ったりしました。

day 0

夏休みで日本にいたので、行き帰りは日本代表団の皆さんにお世話になりました。

羽田空港での壮行会から注意事項説明までを横で聞き、晩御飯の中華までご一緒させてもらったので少し申し訳ない気持ちになってしまいました...。ですがワクワクも同時に高まってきました!

 

ここから13時間の長いフライトと、乗り継ぎで1時間少しの便に乗ってコペンハーゲンまで向かいます。飛行機には慣れているおかげでしっかり寝れたのがよかったです。ナプキンがマリメッコで可愛かったです。

 

空港ではスタッフの方が待機していて、電車と路面電車を乗り継いでさらに少し歩いて会場に到着しました。この時点で現地時間10:00AM。

この日は1日暇なので、私は少し日本代表団と離れてホテルの朝食を食べてみたり、また合流してスーパーに行ったりゲームルームに行ったりして過ごしました。

 

 

会場にはホテルから5分弱歩いたところにゲームルームがあり、そこにかなりの種類のボードゲームやカードゲームがあり良い社交の場になっていました。アップライトピアノがあって嬉しかったのと、カラオケや写真ブースまであったのが印象的です。

 

イギリスチームはこの日、飛行機の遅延を含め三重くらいのトラブルにあったらしく、18時の到着予定が22時くらいに。いくら機内で寝たとは言っても、この時間まで起きて待っているのは少し辛かったです...

 

day 1

午前中の開会式からスタート。

会場

式はまず二人の司会の方が、EGOI全体について紹介した後にルンド大学とスポンサーの紹介があり、そして各国が挨拶して終わりました。ルンド大学は留学プログラムが充実していて、1/4がエンジニア系の学部におり、世界の大学トップ100に入っているそうで、大学のお話を聞けたのはすごく面白かったです。

 

司会の方の会話は結構面白く、

「なぜヨーロッパと付いてるのにヨーロッパ以外も参加してるの?」

「えっとね、ヨーロッパ以外の国も参加したいんだよ!」

 

「なぜルンドで開催されるの?首都でもなんでもないし何も無いのに」

「確かにそうだけど、ルンドは知的首都だよ!!」\ドッ/

みたいなやりとりもありました。笑

 

式では入場した時からマーチバンドの方(学生オーケストラと紹介されましたが、弦楽器や一部の管楽器がいなかったので)が陽気な音楽を奏でていて、チームメイトと「お祭り気分になるにはちょっとまだ早いよね」と話していました。ですがダンサーの人も可愛くていよいよ始まった...!という感じが味わえました!

合計3、4回は途中で演奏されていたのに、開会式後も会場の外で弾いたり踊ったりしていたので体力がすごそうでした。

 

この後から、アイルランドの子とチームガイドが同じだったためほぼ同じチームのように行動するようになります。※普通は1チームにつき1人のガイドさんですが、イギリスが選手2人、アイルランドが1人だったため合わさることに...

アイルランドはいつも選手が1人らしく、にもかかわらず先生が2人ついていて(student to staff ratio的に)少し羨ましかったです。

 

お昼ご飯の場所が昨日と違い大学の食堂でしたが、正直比べ物にならないほどここの方が美味しかったですし、場所も綺麗で広く近代的でした。

写真のチーズカレーは2日目のディナーで、今大会の個人的ベストミールです。

 

さらにここから本格的に交流を始め、食堂が遠いため道中で色々な人とお話をしました。

 

ラトビアは手続きがうまくいかなかったか遅すぎたがで、登録できていなかったようです。そのために開会式でも国名が呼ばれず、解散と言われたあとに国名が呼ばれてしまい少しかわいそうでした。

ホテルも自分で手配しなければならず、仰々しい魚が壁に描いてある少し気味の悪いホテルになってしまったそうです。
エジプトのチームとも連絡先を交換しました。

 

午後のプラクティスでは、キーボードの配列を日本に変えるところからトラブって始めは少しヒヤヒヤしました。大体解決された頃、配列が微妙に違って | が打てないことに気づいて困ってしまいましたが、団長がorとbitorで解決することを教えてくれたので助かりました。

写真はありませんが、去年のトルコ大会で見た写真のような大部屋ではなく、10人ほど入れる小さなコンピュータールームをいくつも使っているようでした。

 

この日の晩御飯、ベジタリアンのラザニアはとても美味しかったです。眠くて交流する気力がなくなってしまったのが少し悔しいです。

 

day 2 - Competition 1

1日目なのであまり緊張していませんでした。他の選手のログイン情報が配り終えられて無いとのことで、15分遅れての開始になりました。

 

今回のEGOIの方針は、私は書いてる途中によく迷子になるのでちゃんと解法を書こう、でした。そしてJOIGでタイピング音がすごく気になるということがわかったので、耳栓を忘れないこと、です。

 

まず1問目はこれに沿って、すぐに満点解法がわかりましたが紙に書きました。ただ謎のコマンドエラーに苦しみ、なんとか始めの1時間で満点を取れました。コードは開始20分くらいから1文字も変えていないので、普段と違うデバッグに慣れていなかったのだと思います。

 

次に2問目の愚直を投げ、バグりつつ16点は取れました。12点の部分点も追加で取ってから3問目へ移動し、簡単な解法で取れるはずの20点のコードを書いて提出しました。

これがかなり問題で、インタラクティブですがコーナーケースに引っかかって競技時間中ずっとTLEを出して終わってしまいました。全体に公開された質問にもこの関連の物があったので、気づくべきでした。

 

割と時間を使ってしまった後、4問目を読み始めましたが、そもそも問題文を読むのが難しかったです(翻訳もどうやら辛かったそう)。現実世界にありそうな道路の問題なのに、なさそうな設定だったからかもしれません。なんとか趣旨を理解して、隣接頂点に2本道路を建設して条件を満たせる・満たせないで判断する簡単解法でsubtask 2までの15点までを取りました。

 

そして最後に、満点解法が思いつきそうだった2問目に戻って書き始めました。グラフ的に解けると思って書き始めたのは良かったのですが、実装しているうちに細かいところの詰めが足りないことに気付き他の部分も変更しながら実装したのがダメでした。1分前になんとかサンプルが全て通るコードを出しましたが、全てWAになってショック。

 

結果は100-28-0-15で143点です。

 

 

この後スポンサーイベントがあり、4人チームでの数字推測ゲームでした。イギリス+アイルランドチームはエストニアの子も加えて4人チームを作り上げ、なかなかよくできて2位で終わりました。

13問のうち1番良いスコアは数学の問題かつ私が得点し、さらにその問題であり得る最高スコアだったので、貢献できた気がしてとても嬉しかったです。

 



 

 

そして晩御飯の後、コンテストがすごく悔しかったので、書けそうだったところをもう1度書き直しました。まず3問目でコーナーケースを考慮したコードを書いて20点とり、そして2問目にチャレンジ。すると一発で満点通ってしまいました...。かなりショックでした。。

しばらくは、両方取れてたら...というとてもくだらないことを考えていて、それでもプレッシャー下で時間内に解けなかったものは普通に実力なので、寝る頃には割り切ることができました。この辺りはJOIG春季トレーニングの失敗経験が生かされていたかなと思います。

day3 - Excursion

朝9時にホテルをバスで出発して、動物園とビーチに向かいました。この日も快晴でしたが、時々パラパラと降るくらいはありました。

 

まず動物園。といってもアニマルパークという感じで、アスレチックなものやひつじのショーンの乗り物がありました。ひつじのショーンの乗り物はトラクターを模した四人乗りのライドで、エリアを一周して帰ってきます。

途中ではキャラクターたちが傍にいたり、ここから進むなという看板が貼られた橋があったり、豚に水をかけられたりしました。

 

そこからは順番に動物園を回って行きました。恐竜エリアもあるなど飽きない動物園でしたが、運動神経皆無の私がアスレチックエリアに行ったのでめっきり疲れてしまい、お昼ご飯の時には体力がかなり消耗されていました。

 

運営の方からのミッションがあったので午後はその消化をメインに。パーク内にある3択クイズに答えたり、√2mに一番近いタワーを作るなどのミッションでした。

スウェーデンの3択って1,X,2なんですね、なんでだろう...。

√2mは、チームメイトの背が高いので、彼女が膝をついて私のカーディガンを乗せたら誤差1cmになりました。)

 

16時半ごろにビーチにバスで移動しました。この間イギリスとアイルランドチームで北アイルランドの領土についての話をしましたが、みんなイギリス・アイルランドで生まれていないよねというオチに収まりました。2階建てのバスでテンションも上がりました。

 

 

 

ビーチでは、珍しくベジタリアンではないBBQのディナーでした。アイルランドの子は真っ先に泳ぎに行きましたが、私とチームメイトはタオルを持ってくるのを忘れたのでやめておきました。そもそも私泳げませんが。

 

食事をしてから海を見てひとしきり写真を撮り、海外版人狼AVALONをやろうという話に。人数が足りなかったので日本チームを勧誘しに行って一緒にプレイしました。

 

人狼よりルールが難しいのですが、はっぱちゃんが英語で聞いたルールをすぐに理解して周りに説明し、かつ心理戦の作戦まで理解していたのは本当にすごいと思いました。

私はTrinity Campでプレイしたことがあったのでそこそこ大丈夫でしたが、初回でそんな頭の回転できない〜

 

clara775.hatenablog.com

 

day 4 - Competition 2

銅メダルでも下の方だったので、朝からすごく緊張していました。ただガチガチにはならずに済んだかなと思います。

 

競技開始後、一通りのタスクを読んで1問目の出来そうな部分点から実装しますが、subtask 2までいけるだろうと思ったコードが1までしか通らず、バグに時間がかかったので諦めて2問目へ移行しました。この時点でタイプミスが多かったのでやっぱり緊張してるんだなと気づきました...

 

2問目は、昨日の夜部屋でDPがでそうだよねという話をしていたので、これだ!と思いました。ただ変に二次元DPにしてしまい、多分subtask 2くらいまで通ったと思います。

その後三次元DPに直して、満点を取れました。ここで満点を取れたのが精神的に良かったです。遷移をはっきり紙に書いておこうという戦略がうまく行きました。

 

次に3問目の部分点を取りました。愚直を書いて22点取りましたが、実装を直せば直すほどガタガタになっていったので、諦めて4問目のインタラクティブへ。しかし競技1日目の二の舞で、今度はWAが抜けませんでした...。

 

ここで1番取れそうな部分点は11点しか取れていなかった1問目かなと思ったので、愚直を書いてsubtask 3を通し、通らなかったsubtask 2のad-hoc解法を見直しました。少し数を大きくすると間違いであることに気がついたので、数十分で直せたと思います。これで無事、1問目は69点まで上がりました。

 

結果は69-100-22-0で191点。結果が気になったので、ホテルに戻って携帯を確認し、銅メダルらしいとの情報を得ました。

 

結果的に2日目の振る舞いは、できうる限りのベストだったと思います。

1日目はスコアをもっと伸ばせたはずで、もう少し時間の意識が必要だったと思います。最初はメダルを取ることが目標でその実現も怪しいと思っていたのですが、こうしてみるととても悔しいです。

 

この後はパズルを解くスポンサーイベントと晩御飯があった後、もう競技も終わったことだし交流に力を入れよう!とゲームルームに比較的長く居座りました。カードゲームをやったりカラオケをやったり、チームでフォトブースに行って写真を撮ったりできたので、とても良い思い出になりました。

 

day 5

午前中はシルバースポンサー3社のイベントでした。

 

最初の1社はJavaアプリの会社で、メモリやVMなどの解説がありました。GCSEのComputer Scienceを修了して良かったなと思った瞬間です。

次はGoogleで、機械学習の紹介がメインでしたが、枠1時間の半分くらいで終わってQ&Aに移りました。やはりみんなインターンに興味があるようで、たくさんの質問が飛んでいました。

最後はモクテルが出される自由な時間で、3種類のうちの1つがとてもとてもおいしかったです。ここでは、会社の人に自由に質問ができ、3社とも違う個性があってとても楽しめました。

 

お昼の後、路面電車に乗って閉会式へ。式ではEGOIに関する数字が紹介されたり、大学の教授がお祝いの言葉をくださったりなどしました。

結果イギリスチームは銅メダル+Honorable mentionでした。無賞ゼロ!

 

成績の下から呼ばれるのですが、私は銅メダル最後のグループに呼ばれて、やっぱり悔しい〜と思っておりました。

 

それはそうと、日本チームは全員銀メダル以上獲得という大快挙を成し遂げられたので、自分のメダルをもらったあとは日本チームが呼ばれるたびにヒュー!といって盛り上げる役をコッソリしました。

 

少し歩いてバンケット会場のホールへ向かいます。前菜、メイン、デザートが出てくるしっかりしたお祝いのディナーで、デザートのアイスが出てくる時に花火の演出があって面白かったです。

 

また、食事の合間に歌のパフォーマンスがあり、ハモリもあってプロ並みに上手かったのが印象的です。なぜか、イギリスの有名な王であるヘンリー8世が背が低かった話の歌やフィンランドの歌を歌っていて、ちょっと笑ってしまいました。

 

終わり際には開会式で出てきたバンドの人が登場し、かなり盛り上がりました。

みんな踊ろう!という掛け声をきっかけにみんな動き出して、学校のディスコでありがちないわゆる「でんしゃっしゃ」状態がここでも起こりました。欧米共通の盛り上がり方なのでしょうか。私のちゃっかり中に入りましたし、純粋に楽しかったです。

 

その後、アフターパーティーに参加するつもりだったのですが、ディスコ音楽がかなり重低音効いた感じで長時間耐えられないと思ったので、仲良くなった人たちと一緒にルンドの街を回りました。

 

お互いの言語文化について話しながら、ロゴの元になった大聖堂やLUNDのモニュメントを見て一緒に写真を撮り、ヨーロッパらしい可愛らしいレンガの街並みを眺めながら夜中にひとしきり歩いて回ったので、行ったメンバーとさらに仲良くなれた気がしてとても嬉しかったです。

 

 

 




北欧はセブンイレブンが多そうですね。

 

day 6

また日本代表団にお世話になって日本へ帰りました。チームメンバーやガイドさんとは名残惜しい別れをしたので、改めて交流ができて良かったと実感することができました。

はっぱちゃんにコード読みやすいよねと言われてテンションが上がりました。

個人的に、チームメイト、アイルランド代表の子、そしてはっぱちゃんとは結構仲良くなれた感じがあります。一方的だったらどうしましょう。

全体的な感想

国際大会ってこんなに楽しいんだ!!と心から思う大会でした。国際交流の意義と楽しさ、そして大きな大会で問題を解く大切な経験をさせていただきました。

たくさんのスタッフの方や、2年ほど前から準備をしてくださった運営の方々、そしてお世話になった日本代表団の皆さんと派遣してくれたBIOの方に感謝を伝えたいです。

 

振り返って、昨年のJOIGの本選で優秀賞を逃してからここまで、特に昨年の夏からの一年間はよく競技プログラミングの努力を積んできたなと自分でも感慨深くなります。競プロ愛が一層深まったように思います。

 

そして、次年度へのモチベーションが上がりました!果たしてイギリスは来年選手を派遣してくれるのかどうか、それもよくわかりませんが、是非次年度も頑張ってどこかの国から出られるように頑張りたいです。

JOIの方は誰でもウェルカムだと言っ下さったのが、ありがたかったです。

 

目標は今年よりも良い色のメダルを取ることです。といって自分に圧をかけておきます。

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

イギリスの数学オリンピックの代表合宿に参加した話

イギリスの数学オリンピックの代表合宿に、3月末から4月初めにかけての6日間参加しました。なかなか珍しい貴重な経験をさせていただいたと思うので、できる限り共有できればと思います。

どこに行ったのか

ケンブリッジ大学のTrinity Collegeというカレッジで行いました。ケンブリッジ大学は幾つものカレッジが集まって成り立っており、1つ1つが独立した小さな大学のようになっているそうで、トリニティは大学内でもかなり有名なカレッジだと思います。何せみんな大好きラマヌジャンやハーディー、ニュートンの出身校なのですから!それだけで私のテンションはマックスです。

BMO(イギリスの数オリ)の進み方

前提として必要だと思うので軽く説明します。

SMC (Senior Math Challenge)

Year 13 = 高3まで参加できる数学のチャレンジで、1時間半で5択を25問解きます。結構スピードが必要です。間違えると点が引かれます。

私の学校ではYear 11(高1)の数学トップセットの生徒とYear 12,13の数学をとっている生徒全員が受けることになっていて、私は去年も先生に「受けたい」と言ったところYear 10でも受けさせてくれました(JMOと同じで下の年齢制限はない)。今年はYear 11になったので、同じ数学のクラスの友達も受けました。

毎年70万人近くの参加者が世界中から集まるそうです。一方JMOの予選は2022年の統計で5000人に達していないので、だいぶ大規模だと思います。学校が費用を負担し、私の学校のようにみんなに機会を与えるといったチャレンジが数学以外にも多いように感じるので、そこもイギリスの教育の好きなところです。科目が苦手でも受ける敷居がぐんと低くなっています。

BMO Round 1

SMCで大体上から1000人くらいの高い点数を取受けることが出来ます(年によって、125点中100-110点くらい)。そのほかのトップ6000人には、別のKangarooというチャレンジもあるので、幅広い人に機会が与えられています。

BMO1は3時間半で6問、全て筆記で解答を全て書きます。JMOと比較して、早いうちからフルで解答するのが違いです。

BMO Round 2

BMO1でトップ100くらいになるとBMO2に進みます。

3時間半で各10点の4問を筆記で解答を全て書きます。ここまで来ると問題も難しいので、これに進むと学校の先生に結構褒められます。私は15/40点で、3問フルで書いたと思ったのに全然点数が取れませんでした。ちなみに去年は8点で全然ダメでした。

 

ここを通ると、24人が春のTrinity Campに参加できます。JMOでいう春季キャンプの位置付けです。他にも女子のチャレンジであるUKMOGや、Intermediate Math Challengeから入る別のオリンピックなど沢山の数学チャレンジが行われています。

というわけでこのTrinity Campの参加記を書いていきます。

Trinity Campの流れ

Day -N

2月中頃のHalf termの時に、数学の先生から「Trinity Campに招待された」とのメールが転送されてきました。何が起こったのかわからず、はてなマークでいっぱいの頭でとりあえず春休みの飛行機の予約だけ変えてもらいました。

上位の人の名前や成績はwebで発表されていて、その人たちとの差が凄すぎることから確実に点数ギリギリで招待がかかったとわかっていましたが、それでも嬉しかったです。そのためJOIGの方を頑張った方が良いと思い、対策は特にしませんでしたが、獲得!金メダルと船旅は買っておきました。

Day 0 

JOIGの春合宿で日本に帰っていたので、朝の便に乗って渡英してホストファミリーの家に泊まりました。日本滞在、短すぎました...

Day 1

お昼を食べた後にタクシーでケンブリッジ大学まで向かい、自己紹介をしてから部屋に向かいました。自己紹介した先生方、ヘルプのトリニティカレッジ現役大学生、そしてその他のスタッフの方々の人数がとても多い!大学生は10人くらい、先生方も10人弱と多くの人が関わっていることがわかりました。結果、先生方と大学生に関しては全員が講義をして下さったので、見守りだけではなく実際に選手と強く関わってもらえました。

 

講義やテストが行われる建物と宿泊場所は隣り合っており、どちらもとても近代的で綺麗な建物です。建物自体のキーカードと部屋の鍵が渡されるのでセキュリティもバッチリ。

ちなみに全員交通費と宿泊、朝昼晩の食事が無料。部屋が2人でも、なんなら3人でも(ベッドさえあれば)行けるのでは、というくらい広くて綺麗で素敵でした。太っ腹!

 

ご飯はハリーポッターの食堂のようなところで食べました。ここは宿泊場所から10分ほど歩くところで、立派な門をくぐり、左右に緑を眺めて進んだ先にある大学生の寮と回廊(最初の写真)を通ってたどり着きます。

写真は日中ですが、夜は少し暗めでテーブルの上のライトがぼんやりと光っており、とても雰囲気がありました。また写真に写っているヘンリー8世(イギリスの歴史では有名人)など、偉人の肖像画が沢山飾られていました。見たことのある肖像画でおそらく数学者だったものがあるのですが、結局誰だかわかりませんでした。天井近くはどれもステンドグラスでこれも美しく、建物内の装飾も豪華絢爛な雰囲気でイギリス感を感じられます。

 

食事もそれなりに美味しく、デザートが出たりヨーグルトやサラダが取れたりとレパートリーには困りませんでした。イギリスの食事は一般的に悪い噂しか聞かないと思いますが、私は聞くより美味しいと思います(日本の食事の方が良いのは当然ですが)。

 

 

 

スケジュールの紙がここで渡されました。講義はいくつかの例外を除いて、全てキャンプに来たことがある組と初めて組で分かれていました。交流や他のイベントは全員一緒です。1コマ1時間半で、午前と午後に2つずつ、夜は日毎に違うイベントが企画されている感じでした。

6日間の間にTeam Selection Testは2つしかありません。他は講義や自由時間・交流の時間に当てられており、教育的な目的がこの合宿の意義を大きく占めているなと感じました。

講義の内容などはどこまで言って良いのかわからないのであまり言いませんが、初日の講義は概ね大丈夫でした。ただすでにこの時点で他の人とのレベルとの違いを感じ始めてはいました。講義の多くは、問題を解いてみてその解説を通してストラテジーを学ぶという構成だったので、解くスピードの差から危機感が...。

 

その日の夜はリレー企画。4人ずつのチームに分かれて短めの数学の問題をテーブルからとりにいき、解いたら次の問題を取っていくという感じでした。やはりチームメンバーの解くスピードが早すぎて全くついていけなかったですが、数問は1番(タイ)で解けました。時差ボケがありましたが、純粋に楽しむことができました。

 

自由時間はこの日以外も色々なゲームをやりました。Avalonやone nightという人狼みたいなゲームや、sevensという七並べのようなものもやりました。sevensは、とても似ているのにほんの少し違って面白かったです。

Day 2-3

前日の危機感というレベルではなく、とにかくボコボコにされました。皆テクニックや定理の知識量が半端ではなく、問題を解くスピードも全く違ってレベルの違いを見せつけられた気分でした(私が勉強不足なだけです)。

苦手な幾何とかでは困ってしまうだろうなと思っていましたが、意外と他の分野もそれと同じくらい困ってしまいました。特に一番ましだと思っていた数論の講義が本当にちんぷんかんぷんで、かなり落ち込みました。問題が解けないだけではなく解説からです。そもそも語彙がわからないという状態に久しぶりに陥り、知らない概念や使ったことのない定理のオンパレード、試験がやばいという以前についていくのが大変すぎました。

 

3日目の最後はTST1直前ということでwrite-upのコツが1セッションありました。そこでもついていけなさすぎて大学生の人を困らせていて本気で泣きそうでした。ただこのセッション自体は、このようなことを全く教えてもらったことがないのでとても役に立ちました。

Day 4

初めてのTST1です。IMOと同じように4時間半で3問ときます。8時スタートだったので割ときつかったです。問題については、JMOと同じで言及厳禁なのでノーコメントです。何かしら自信のあることが書けただけ、自分的には合格点だと思います。

ランチでキャンプの感触を聞かれた時に、あまりうまくいっていないとこぼしました。すると手伝ってくれている大学生の人が「大学に行ったら自分だけ出来ない気分になる」、キャンプに何回も来ている人も「初めてのキャンプなら誰でもそんな感じだし、僕もそうだった!」とみんな親切でした。優しい〜!

フリータイムの後、みんなで集まって解説のセッションが2時間ありました。割と惜しいところまで行っていた気がしたのでさらに嬉しくなりました。

晩御飯の際に、取りまとめの先生が私の1問目をマークしたと教えてくれました。昨日のwrite-upのセッションでのtipsを意識したのがよくわかって、すごく良かったよと言ってくださりとても嬉しくなりました。一応今年のEGMOの補欠なので、来年はいい位置にいると思うよとも言われました。

 

フリータイムには解説を聞いてモチベーションが上がったので、その後は本を読んで勉強しました。交流や講義があるとこのようにやる気も上がるのが良いところかなと思います。

Day 5

この日はDay 1-3と同じように講義のみの日でした。

夜に毎年やっているらしいクイズ大会があったのですが、初めのセクションが全部日本に関することでした(今年のIMOの開催地が日本なので)。ただ、鎖国中に出島に唯一入れたヨーロッパの国は?や日本の二大宗教は?、温泉に入れないスタッフがいるがそれはなぜ?(答:タトゥー)など、私は日本人だから知っているけど...というような難しい質問がかなり多かったです。

他のセクションは、イギリスのクイズ大会でありがちなスポーツフットボールポップカルチャーで私は全く役に立ちませんでした!笑 でもとても楽しかったです。

Day 6

TST2の日でした。受ける前に部屋を空けなくてはいけなかったので、朝はとてもバタバタしていました。

昼食後に解説があったあと、3時に保護者も含めてお茶があって解散となりました。そこで、やはりキャンプに毎年数人の生徒が参加する学校がいくつかあること、参加者の多くが実際にCambridgeのTrinity Collegeに進学していることなどを聞き、やっぱりそうなのか!と思いました。

まとめ

みんなのレベルが段違いだと実感を持つことができました。この合宿に参加できた幸運で、IMO銀メダルの人などと交流でき、明確な目標ができ、そしてレベルの高い講義から得られた学びと沢山余った問題と、とても充実した週になりました。

今年は自信を持つことなく終わってしまいましたが、来年はしっかり勉強してもう少し自信をつけて帰って来れるようにしたいです。

これを経て、船旅の英語原著EGMOを買ってみようと思いました。英語の数学本はBMO 1/2 レベルしか持っていなかったのですが、英語でこのレベルの数学を身につけるには、それ自体を英語で学ぶことが必要だなと感じたからです。

 

ヨビノリのパーカーです。大学生の人にジョークだと伝わった時はこれで私の全ての目的が果たせたと思いました笑 いえい!